乳歯の虫歯と永久歯への影響
■乳歯の虫歯は永久歯に影響が
これをご覧になっているパパさんママさんの中で、乳歯に対して、こんなふうにお考えの方はいらっしゃらないでしょうか?
「乳歯はいずれ抜けてしまうんだから、少しぐらい虫歯になっても大丈夫では?」と…
でもそれ、放っておくと、さまざまなリスクをお子さんに背負わせることになるのです。
■乳歯の虫歯放置で起こること
◇虫歯菌に感染
乳歯の虫歯をそのまま放っておくと、進行して歯の根っこにまで達し、そこに膿を溜めこみます。永久歯は、乳歯の真下、つまり、膿が溜まったところから生えてきます。そしてその時、永久歯が虫歯菌に感染してしまうのです。虫歯菌に感染した永久歯は、そうではない歯に比べて、虫歯になるリスクはグッと高くなってしまいます。
◇永久歯が真っすぐ出られない
乳歯の虫歯がひどくなって、自然に生え変わるよりも早く抜けてしまうと、奥の歯が徐々に前方に動き始めます。すると、待機していた永久歯のスペースが、十分に確保できなくなり、変な方向に生えたり、ずれてしまったりして、歯並びが悪くなってしまうのです。
◇噛む力やあごの発達を損なう
たとえば、右の歯が虫歯になると、その痛みを避けるようと、左の歯で噛むようになります。そして左も虫歯になると、どちらもよく噛むことができず、食べ物を飲みこんでしまうようになります。虫歯になると噛む回数が減り、それに慣れていくと、噛む力やあごの発育に支障をきたしてしまいます。
◇偏食になる
虫歯によって歯が痛くなると、その影響でお子さんの食欲がなくなってしまう点も、心配されます。そして痛みのせいで、噛まなくて済む、軟らかいものを好んで食べるようになってしまいます。そのせいで、さらにあごの発達が損なわれてしまいます。また、成長期の身体の発育への影響も懸念されます。
■むし歯のできやすい部位
たとえば奥歯は、乳歯の中で、もっとも虫歯ができやすい歯です。歯の表面の溝が深く、歯ブラシも届きにくいので、虫歯になりやすいのです。さらに歯と歯の間も、歯ブラシが届かず、食べカスが挟まった状態のまま、放置されやすい部位だといえます。また、歯と歯茎の境目や、前歯の歯と歯の間も、虫歯になりやすいところです。
■乳歯のむし歯は、白い?
乳歯の虫歯は黒色ではなく、白く変色することが多く、また子どもは痛みに気づきにくいため、虫歯ができていても発見が遅れがちになります。初期の虫歯なら患部を削らず、進行抑制剤を使って虫歯の進行を阻止する治療ですむ場合もあります。歯を削る治療による、お子さんの負担を軽減させるためにも、保護者の方が毎日歯をよく観察して、いち早く変化に気づいてあげることが大切ですね。
■しっかり磨いて虫歯予防
歯磨きをする時は、奥歯の歯と歯の間まで汚れが取れるよう、歯ブラシの毛先をしっかりあてて磨くようにしましょう。歯と歯の間は、普通の歯ブラシだけでは不十分です。デンタルフロスを使って、汚れを落としてあげてくださいね。
また、保護者の方が仕上げ磨きをする際は、虫歯になりやすい部位を意識して行うことが大切です。歯の変色にも目を配ってあげてくださいね。
アレッ?と感じたら、早めに歯医者さんで診てもらいましょう。
■永久歯が生えてこないトラブル「埋伏歯」
お子様の歯について、乳歯がきちんと永久歯に生えかわるか、心配になりますよね。
乳歯が抜けたにも関わらず、肝心の永久歯が生えてこない問題は実際に起こりえます。ちなみに、永久歯が生えてこないトラブルを「埋伏歯」といいます。埋伏歯は、永久歯が歯茎の中、または顎骨から伸びてこない状態を指します。埋伏歯が1本あるかどうかで、その他の歯の成長にも影響を与え、場合によっては歯並びの悪化につながるおそれも考えられます。
埋伏歯になってしまう原因は、顎骨がきちんと成長しなかった、歯のサイズが大きい、骨と歯が合体したままになっている、歯が生まれてくる場所に問題がある、とさまざまあります。本来生えてくるはずの永久歯が埋伏歯となるトラブルは意外と多くの人が経験しています。しかし、何かしらの治療が絶対に必要になるかというとそういう話でもありません。
■「埋伏歯」の治療
3年から4年程度の長い時間を経て、自然に永久歯が生え出てくるケースもあるため、状態によっては、しばらく様子を見るといった診断をされるかもしれません。きちんと生え変わらず、乳歯が残った状態なら、まずは乳歯を抜く処置を行うと思いますが、その後しばらく待っても永久歯が生えてこずに歯茎が硬化しているなら歯茎を切る治療になるでしょう。
顎骨の内部に永久歯が留まりつづける場合は、矯正器具を用いて歯を表に出す処置を行います。この際に歯並びの乱れが生じるため、その後の全体的な範囲での歯列矯正を考えておく必要があります。
歯並びの悪化につながる埋伏過剰歯が発見される場合は、未然に悪化を抑える意味でも乱すおそれのある歯を抜く処置を行います。不要な歯を抜くことで、本来生えるべき永久歯が生えるスペースが確保されるようになります。埋伏歯は歯茎、顎骨の下に存在するため、通常の抜歯より負担が大きくなることを憶えておきましょう。
■まとめ
2歳ごろまでに乳歯の歯列が完成し、その後12歳くらいまで付き合い続けるのが乳歯です。いずれは抜けてしまうのですが、だからといって、虫歯になってもそのまま放置して、抜けるのを待つというのは、正しい認識ではありません。歯並びに悪影響が出たり、永久歯の変色を招いたりします。
トラブルのない健康な永久歯を育てるためには、乳歯の虫歯予防や治療は、欠かすことができません。
乳歯だからといって、油断は禁物なのです。乳歯が虫歯になった時は、なるべく早く歯医者さんで処置してもらいましょう。早期のケアで、永久歯へのさまざまなリスクを回避することが可能です。
健康ですくすくと育ってほしい…そんな親御さんの願いは、いつの時代でも変わることはありません。身体だけでなく、もちろん歯も丈夫に育ってほしいですよね。定期的な検診、予防歯科が最強の治療です。是非、何にも問題のないうちから、お子さんを連れてきてくださいね~!
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